2018年08月11日

「TORIさんの特撮放談@」正誤表(2018.8.11現在)

コミックマーケット94ほかにて頒布の「TORIさんの特撮放談 キングコング対ゴジラ のまき」誌面の中に、下記のとおり誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

P.04 下段12行目
「ゴジラ誕生25周年」の「25」の縦中横指定ミス

P.15 上段3行目
(誤)たた (正)ただ

P.18 下段7行目 および
P.23 上段4行目
(誤)パーフェクト・ステレオフォニック・サウンド
(正)パーフエクト ステレオフォニック サウンド

※だって画面にそう出るんだからしょうがない。
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(学研「ゴジラ大百科[メカゴジラ編]」P151より)

P.70 上段4行目
(誤)「PUFF」からの転載 (正)「衝撃波Q」からの転載

※中島紳介さま、開田裕治さまに対して、たいへんご迷惑をおかけいたしました。

【2018.8.11追記】
P.04 上段2行目、P16 上段13行目、P.33 下段4、8、14行目
(誤)記念作品 (正)記念映画

P.16 上段13行目、下段2行目
「創立30周年」の「30」の縦中横指定ミス

【2018.8.17追記】
P.28 下段19行目
(誤)自衛官 (正)自衛艦

P.40 上段3行目
(誤)ゴング (正)コング

P.73 上段3行目
(誤)評論分 (正)評論文

P.66 上段2行目
(誤)ガス人間第1号 (正)ガス人間㐧一号
−−−−−ここまでは第2刷に反映しています−−−−−
【2018.9.20追記】
P.66 上段1行目、同4行目
(誤)八十二年末 (正)八十一年末
(誤)八十三年の (正)八十二年の

※訂正は当ページ内にて、今後も順次行ってまいります。
 誤りなどにお気づきの方がいらっしゃいましたら、Twitter @m_torisan までご連絡ください。
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2018年08月03日

『大冒険』雑感

(mixi日記 2006年03月06日分)

 1965.10.31公開、監督:古澤憲吾、特技監督:円谷英二。
 “クレージイ・キャッツ結成十周年記念映画”。……このCD作ったときに「“クレージー”か“クレイジー”でしょ?」と校正入ったのを「いや、映画ではこういうタイトルが出るんですよ」と出張して、あえてこの表記を使わせてもらったことが。そんな細かい主張するから編集さんたちから嫌われるんだよな。

 この作品って評判がいい割に自分にはどうもイマイチだった理由が、今回久しぶりに観てなんとなくわかった。潜水艦航行シーンやミサイル反転など個々の特撮ショットはどれも凄いんだけど、その特撮のほとんどが本篇と有機的に編集されていないんだよな。
 島のミサイル群も本篇との絡みは制御室の窓越し合成だけで、クライマックスの脱出シーン(ここに迫力も緊迫感もない、というのがこの映画最大の欠点だと思う。なんでもホンモノで撮れば迫力があると思ったら大間違いだよな)で背景に林立するミサイルをロングで合成するとか、中村哲のカウントダウンに合わせてミサイルの特撮や島の様子と本篇の脱出シーンをカットバックする、なんて演出もないし。また島の大爆発シーンも島の外観が吹っ飛ぶだけで、崩れ落ちる内部の様子(『青島要塞』のデュープはあるけど)や秘密基地内で逃げまどう越路吹雪や総統の絵とかも全然出てこない。本篇と特撮のマトモな編集が観られるのはビルからの落下シーンだけなんだもんなあ。
 日米艦隊による艦砲射撃のシーンなんかも、着弾は全部実写、発砲の画面に至っては戦時中のホンモノの戦艦群の白黒映像だぜ(^^; 特撮班を編制しているんならそういうところを特撮でしっかりやってほしいんだよなぁ。『モスラ対ゴジラ』海外版用シーンみたいにさ。……んでついでに艦隊の指揮官は藤田進ぐらい使ってくれよ。松本染升とかじゃ頼りなくて(笑)

 『青島要塞爆撃命令』で編集権を巡って大喧嘩した結果、翌年の和製トップガン『今日もわれ大空にあり』をついに特撮を使わずに作っちゃった(合成は使ってるけど)ぐらいだから、古澤憲吾はたとえ数シーンでも編集権を侵害される(言い方を変えれば、他の監督の演出を受け入れる)のがよっぽどイヤだったんでしょうねぇ。さすがは「ヤツが○澤ならオレは古澤だ」発言の主ですな(笑)
 特撮では古澤ズームも大規模移動も天井大俯瞰も使えないしね。まぁなにより編集権がないと自分の映画のリズムが出せない、というのがいちばん大きな問題のような気もするから仕方ないのかも知れませんけどね。
 でもやはり世界に誇る大東宝特撮班が編制された作品としては、その特撮の使われ方が今一どころか今三、今四くらい喰い足りないという印象は否めないわけで。うーん、残念。

 映画そのものについては、昔受けた印象よりはおもしろかった感じ。CDの解説にも書いたけど「アクションスターではない俳優による大アクション喜劇」として見たら、これはやはりとてつもない作品ですわ。
 ……だけどやっぱりあと2〜3曲は挿入歌がないとなあ。2年前なら絶対にクラブと「週刊トップ」編集部と総統御前の大エキストラの中でも歌ってたに違いないと思うぞ。もはやこのころの植木等はろくにプレスコ録ってるヒマもないくらいの人気者だったからしょうがない、というのはわかるんだけどさ。
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2017年11月15日

『サラリーマン忠臣蔵』雑感

 Twitter上で少し需要があるっぽかったので、昔のmixi日記から画像を掘り起こし。
 特撮じゃない? うるせえ、昨今の「トクサツ」よりよっぽど東宝特撮だってんだよ。ブリキは燃えねえってんだよ!

 新文芸座で12/3から行なわれる「大忠臣蔵映画祭」に『サラリーマン忠臣蔵』が入っていて大喜び、そして『続』がないのでいいのかコレ、そしてさらに『続』の貸し出しプリントが東宝にもフィルムセンターにもない、という話まで出てきてありゃまー。
 でも日本映画専門チャンネルでHD画質でやらなかったっけか? 2003年にはBS-2でも放送したし。それで十分じゃねえか。田舎モンからしたら「昔の映画を劇場で観るなんてとんでもないぜいたく」だということを知れ、とw

 まぁなんつってもオモシロイですからね。特に続編のアバンタイトルはこの世の中でいちばんかっちょいいアバンタイトルなのではないでしょうか、というくらいゾクゾクするですよあのノリは。CD「社長音楽記」で『続サラリーマン忠臣蔵』M-1がちゃんと聴けるのはありがたい。
 杉江敏男作品は東宝シリーズもののプロトタイプや初期作品をたくさん手掛けているし、どれ見てもだいたい普通に楽しめるんで安心なんですが、これはその中でも群を抜いてイイ。
 でも最近やっと杉江敏男のサスペンス作品を見る機会が増えてきて、じつはそちらが杉江敏男の本領なんだということを知りました。自分ヌルい。でもホントにサスペンス以外であってもなに撮らせてもその時代の東宝の水準作になるからすごい。真の意味での「ミスター東宝映画」と言えるのかもしれない。
 若大将もクレージーもお姐ちゃんも三人娘も国際秘密警察も黒い画集もみんな撮ってる杉江敏男すげえ。なんで『三十六人の乗客』とか『ある遭難』とかのセンでもっと撮らせてもらえなかったかなー。

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 台本は左から正篇第1稿(1960.10.15)、同第2稿(同10.22)、続篇第1稿(同11.10)。『正』『続』で一冊の台本になっているわけではありません。ほかの社長シリーズも同じように分冊になっているようです。『忠臣蔵』(1962)は花の巻+雪の巻で一冊になってるんですけどね。
 表紙から見ると正篇第2稿と『続』第1稿が同じデザインですが、正篇の中身は決定稿、『続』の中身は準備稿の体裁で書かれています。『続』第2稿読みたいぞ。ヤフオクで一度だけ見たけどとても手が出なかった(泣)
 ちなみに公開は正篇1960.12.25、続篇1961.2.25。もしかしたら正篇も第3稿とかあったりするんだろうか。あってもあんまり変わんないと思うけど。
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2017年11月07日

『天国と地獄』雑感

 11/3という特別な日がせっかくの休みだったのでお出掛けして、劇場で「東宝スコープ、多元磁気立体音響(パーフェクトステレオフォニック)の東宝創立30周年記念映画」を見てきました。

 ほんとうは東京や名古屋などの大都会に出て『キングコング対ゴジラ』4K完全復元版を観たかったんだけど、今回はそれと同じくらい観たかった「東宝スコープ、多元磁気立体音響の東宝創立30周年記念映画」、「午前十時の映画祭8」で上映中の『天国と地獄(4Kリマスター)』を観てきた。劇場でモノラルでは観たことあったけど、パーフェクト・ステレオフォニック(4ch音声)での劇場鑑賞は初体験。リアの音を気にしようと思っていても、つい画面に熱中してしまって注意を忘れてしまう。

 『天国と地獄』は自分は中学生のころに夕方にテレビ放送していたのをチラ見したのが最初かな。そのときは黒澤映画にはまったく興味もなかったので最後まで見なかったと思うんだけど、その迫力のために電車シーンがクライマックスだとしばらくの間思い込んでいた。あの息詰まるシーンがまさか前半2/5くらいの場所だとは思わなかったんですよ当時は。
 そして次はうどん社長が購入した輸入LD『HIGH AND LOW』を見せていただいたような。んでその次は上京してからどこかの小さい映画館でモノラル版を『ニッポン無責任時代』との2本立てで見たw この2本の落差が凄いがそのどちらをも貫く東宝イズム。

 それ以降もビデオやLDやDVDなどで何回も観ているはずなのに、今回はじめて気がついたこと。第2こだまで加藤武が食堂車からビュフェ(7号車)を抜けるところ、外に雪が積もってるように見える。撮影は10月22&25日だそうだが、この1ショットだけ後日撮り直してるんじゃないか? ちなみにこの「こだま」走行日設定はまだ暑いはずの9/3(新聞が9/4付)。
 なおこの浅間台誘拐事件(劇中での正式名称)は9月1日夜発生。ということは『キングコング対ゴジラ』封切り上映終了直後に起こった事件なんだな。たぶん『キンゴジ』一番館上映は8月31日まで。でももしかしたら9月7日までやってたのかも。いつか縮刷版で確認しよう。いつか。

 黄金町〜伊勢佐木町追跡場面、中毒者を装うけだるい感じから追跡モードに巧みに切り替えるつっちーの安心感と「あなた目立つから見つかっちゃうんじゃないか」という名古屋章の不安感最高。あの伊勢佐木町は『ウルトラQ』『ウルトラマン』『快獣ブースカ』でも常連のセットである東宝銀座の飾り変えのはずなのに、黒澤明が撮ると少し違うものに見えるのがやっぱり凄い。


 黒澤映画と言えばやっぱり特撮を語らないとね。いや黒澤明って合成を合成と気づかれないように使う特撮の名手ですから。『七人の侍』の凄い合成とか誰も語らないんだけど、やっぱりあそこが合成だと気づかれてないのかしら。
 桃色の煙はまあ誰でもわかる合成なわけですが、あそこで色とかよりなにより、その合成の煙の手前を窓の桟が横切るのが凄いんですよ。あそこの煙は見ているみんながみんな合成だとわかるはずなのに、あの横切る窓の桟に違和感を感じる人なんていないんだから。
 『野良犬』も美しいマスク合成が1ショットあったはずだけど(オーバーラップとはまた別)、あれがもっときれいになってるのかなあ? うう「午前十時」で観たかったなあ。
 あとはで2カットぐらいしか使っていないという権藤邸窓向こうのミニチュア夜景バック、これの場所特定した記事とか読んだことないので、せっかくだから書いておこう。
 ひとつはたぶん「監獄へブチこんでやる!」の三船Upショット背景じゃないかな。もうひとつはタカシマヤ御一行が「カーテンを閉めてください」というところかなあ。違ってたらすまん。

 4K修復でこれだけフィルムの揺れが少なくなると、意外にカメラを振ってるときに振りすぎてチョイ戻したりとか、少しピンが甘いとか、いろいろ目について楽しかった。もちろん巻替わりパンチ穴は消してあったので、全何巻あったかとかどこで巻が替わるとかはやっぱりわからなかった。LDも処分してしまったのでもうわからない。未熟なり。


 『天国と地獄』は東宝ミュージックからサントラ盤が出ているので、予告篇のみに使用された本篇未使用曲も聴けてしあわせ。でもステレオ音源の一部がもうテープが死んでいて再生できないのが残念無念。M-17「O sole mio」が使用分だけでもステレオで聴けるのはありがたい。R-1「鱒」はMナンバーからしてもともとモノラルなのかしら。
 屋上出撃準備前の訓示シーンに未使用のマーチM-10を当ててみたけど曲の方がかなり長くて夜の港までこぼれてしまう。想定していた場面はここじゃないのかなあ?
 『天国と地獄』はほかにも全編通じてSEの演出がたまらんです。多元磁気立体音響(パーフェクトステレオフォニックサウンド。4chステレオ)でさらに効果抜群。窓を開けたノイズとか、道具ひっくり返した音とか。でもいちばんうまいのはそれを沢村いき雄に語らせることw そういえば「国府津の駅を通過したところで、御殿場線とのポイントを乗り越えるゴトゴトという音がちゃんと入っているのがすげえ」と鉄オタの弟が申しておりました。
 ちなみに4chのリアchは『キングコング対ゴジラ』と同じくめったに使っておらず、「ここぞ!」というところだけ超限定でものすごい効果をあげています。どこで使っているかみんなで捜してみよう!

 しかし『キングコング対ゴジラ』や『天国と地獄』が立体音響なのに、それよりさらにスケールがでかそうな、同じく創立30周年記念映画『忠臣蔵』がモノラル録音なのがどうしても納得いかん。ほんとうに多元磁気立体音響で作っていないのかなあ? 当時の記事とかいつか調べたい。ああでも『大坂城物語』の流用とかあるのがモノラルの証拠かも。……いや『キンゴジ』だって『手錠を掛けろ』の流用やモノラルのプレスコ音源本篇使用とかあるし、『天国と地獄』もモノラル音源の『美女と液体人間』とか使ってるし……やっぱりわからん。
 そういえば『ゴジラ エビラ モスラ 南海の大決闘』に使ってる『天国と地獄』M-14は黒澤関連音盤ではなく「怪獣王」が初音盤化だったのかな?

 ちなみにこの10年前の「東宝創立20周年記念映画」は『生きる』(黒澤明)『丘は花ざかり』(千葉泰樹)『風雲千両船』(稲垣浩)『七色の街』(山本嘉次郎)の4本。『生きる』のオリジナルには記念映画マークとか出たんだろうか。予告篇にはその旨の表示が出ましたよねたしか。
 なお昭和32年度の「創立25周年記念映画」ってのは特に設定されていないみたいで、そのかわりにシネスコとパースペクター立体音響システム導入、そして同じころに録音スタジオ新設、昭和34年にバーサタイルプロセス、昭和35年に大プール。同年〜昭和36年に多元磁気立体音響と。
 創立30周年に向けてひたすら新技術導入に突っ走るそのころの東宝の勢いがすごい。まだまだ映画黄金期が続くと思ってたんだろうなあw そしてそれらの新技術がかならず最初に試される東宝特撮映画はやっぱりあらゆる新技術を総動員して作られていたんだなあ。

 権藤邸に比べたらオラんとこは地獄だとが銀ちゃんが言ってるけど、こっちも夏暑くて冬寒いのは一緒だ、お前はそれでも横浜住まいのインターンだけどこっちはただの貧乏学生だ、こっちの下宿もじゅうぶん地獄だバカヤロー、とか思った学生のころ。◯王子も夏は暑くて寝られない、冬も寒くて寝られない。
 『天国と地獄』の有名なミスで「夏の富士山に冠雪はない」というのがあるが、そんなの東京人は誰も気づかないのでほおっておいたのであろう。ただし静岡県人だけはみんな心の中で総ツッコミをしているのである。
 『響け♪ユーフォニアム』第8話クライマックスの大吉山展望台、あれもきっと下の宇治市街で撮影用ライト乗せた車が右往左往してるんだぜw もしかしてミニチュアのショットもあるんだろうか?(ありません)#anime_eupho

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 『天国と地獄』ポスター4種とパンフ2種。30周年マークが入っている左上が当然オリジナルで、その右のが1968年リバイバルのときのもの。チャンピオンまつりのゴジラ関連リバイバルでもおなじみの「ニュー・プリント」って書いてあるやつね。その次の左側のが1977年10/1(土)からのリバイバルかな。4枚目のはいわゆる“地方版”かしら。いちばん下のパンフは左がオリジナル、右が1977年リバイバル。1968年のときのパンフってあるのかな?
 もちろん画像はすべて拾いもの。そんな凄いコレクション持ってないw

 東宝特撮怪獣関係のポスターなんかは1970年代末からもう「これがオリジナル、これがリバイバルのときのもの」とかをきちんと明記した書籍が普通に出てたけど、黒澤関係本はホントそういうあたりがあいまいすぎてヒドい。テキトーなライターが書いてそうなやっすい本とかならともかく、「黒澤明クロニクル」やLD解説書クラスまでポスター関連は封切とリバイバルが平気で混在してて、しかもそれらの解説も皆無でどうしようもない。酷いのになると4枚目のやつが「当時のオリジナル」とかキャプション書いてある本まである。当時モノでもこれは「オリジナルポスター」とは言わないだろー。「オリジナル」って言ったら普通は1枚目のやつですよ。
 われらが竹内博さんがいかにきちんとしていたか、ということですな。そういう先人を持った特撮怪獣界はしあわせです。
posted by TORI at 17:41 | TrackBack(0) | 映画感想

2017年11月05日

「世界のミフネ」雑記

 このところ渋谷東急の三船展へ行ったり「午前十時の映画祭」に行ったりして、黒澤明や三船敏郎の関連ツイートが溜まってきたので、それらをちょっとまとめてみることに。今回は三船敏郎編。

【渋谷東急 三船敏郎展】
<世界のミフネと呼ばれた男 三船敏郎 映画デビュー70周年記念展>開催決定
http://amass.jp/95029/
三船敏郎さん 旧陸軍時代の熊本 デビュー前の演劇写真
http://mainichi.jp/articles/20160319/k00/00e/040/206000c

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 10/21(金)、仕事で上京のついでに渋谷東急「世界のミフネ」展を満喫してきた。写真パネル展示が主だけど、伝説の軍毛布コートの現物が至近距離で見られるだけでモトは取れる。パネルも映画スチルよりプライベートスナップ主体でたいへんよろしい。パンフは紙質落としてもっとページ数がほしかったけど。

 ミフネが凄いのは、格調高い黒澤映画や文芸映画と『大盗賊』のようなトンチキな映画が代表作として堂々と同居している点。ここが他社のスタアと決定的に違う。「豪快!ハエに化けた仙人と共に大凧に乗って黒海賊の根拠地に潜入!」とかいう文字列だけでマトモな映画じゃないだろw それが演れちゃうミフネの芸の幅の広さ。
 残念ながら時代的に加山雄三はその域までは行けなかった。そりゃ『若大将』も十分トンチキなんだけど、『大盗賊』とかの荒唐無稽な馬鹿馬鹿しさまでは行ってないもんね。その点それより少し前の世代の国際的(香港とか)大スターがその地位を確立したのちに『怪獣大戦争』に主演するとか、そのさらに前の青春スターが月面で熱線砲撃ったり地球を動かしたり。素晴らしすぎる。

 『大盗賊』と比べると『奇巌城の冒険』はミフネ成分と伊福部成分が大半で円谷成分控えめ、というイメージ。中丸成分はなんかいつもと違うがそれもいい。中丸忠雄は三船プロ作品だと「いいもん側」のことが多いんだよね。『大鉄人17』とかじつは三船プロ作品なんじゃないか?w

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 あとミフネと言えば、宿敵!エンタープライズ型空母の甲板に同じく「世界のツブラヤ」と並んでるこの『連合艦隊司令長官 山本五十六』のPR用写真がやっぱり最高ですな。この宣伝写真のバリエーション全部見たい。そういえば、ゴジラもウルトラマン怪獣もソフビとか一切持ってない自分が所有するただ2つのソフビは、用心棒ミニ人形(もちろん座頭市は持ってない)とスキー坊やの人形なのであった。
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 でもこの『連合艦隊司令長官 山本五十六』ってのは、もともとは「ゴタゴタしてる『トラ・トラ・トラ!』作られちゃう前にミフネ使ってサクッと山本五十六撮っちまえ!」という『惑星大戦争』感wが見え見えではあるんですが(絶対に意識していないわけがない)、それでもあの仕上がりなんだから素晴らしい。
<追記>
 『山本五十六』の製作表明(1966.11)は『トラ・トラ・トラ!』製作発表(1967.4)より先、というお話を教えていただきました。ご教示深謝です。
 たぶんその直前に企画されて脚本が準備されていた、『キスカ』に続く“三船敏郎提督の勇気ある反転シリーズ第2弾”(笑)『レイテ』(だってほんとにそういう内容の脚本なんだもん)が頓挫して、その代わりに前年に阿川弘之の小説が発表された『山本五十六』を、という話になったところで『トラ・トラ・トラ!』が製作発表されてやべえ!とかなったところに『日本のいちばん長い日』が大ヒットしたので「よし、これを“8.15シリーズ”として、その第2弾として『山本五十六』やるべし!」とかなったんでしょうか。
<追記終わり>

 新撮の艦隊特撮は『太平洋の嵐』の補填が主な役割だからメチャクチャ凄いシーンはあんまりないんだけど、金剛榛名出港なんていう絵を作ってもらえただけでありがたい。また新撮の鹿児島訓練シーンにもかなりの比重で金を掛けられるので、冒頭からぜいたくな特撮が堪能できてよろしい。
 「変人参謀」と呼ばれた亀島黒人先任参謀(自分はこの人を悪く思ってない擁護派)のキャスティング、『トラ トラ トラ』は単なる見た目の変人参謀なのに対して、『山本五十六』は「実質的変人」をキャスティングしているのがおかしい。平田昭彦戦務参謀とヘッピリビックリいいコンビ。

 ミフネ展の会場に置いてあったチラシによると、来年1月に「三船敏郎とこの10本」という「クロサワ以外と組んだ三船」をテーマとした本が出るそうですが、稲垣浩や岡本喜八や東宝戦記以外に重点を置いたのを読みたいなあ。『サラリーマン忠臣蔵』とか。

【五十万人の遺産】

 しばらく前に「日本映画専門チャンネル」で放送したときに「三船敏郎による初めてにして唯一の監督作」という解説があったけど、「唯一」なんだからそりゃ初めてに決まってるよなあ、とふと思ってしまいました。
 監督が主演しているので、小松幹雄が監督補佐について、黒澤明が編集して「あのカットが足りないから撮ってきて」とか言ってるけど、あくまで三船敏郎監督作品『五十万人の遺産』。モノクロだけどパートカラー作品。三船監督が「オレの顔よりほかをしっかり撮れ」と言ってるのに、それを編集している黒澤明に「主人公の顔が足りない、もっと撮ってこい」と言われちゃうミフネかわいい。
 ミフネ監督デビュー作ということで花を添えている女優ふたりの捨てゴマ感がすごい。仲代も含めて、予告篇ではどういう扱いなんだろう? 『新幹線大爆破』の志穂美悦子みたいになってるんだろうかw あとクロサワ予告篇みたいに演出中の三船監督とかも出てくるのかなあ。早くBlu-ray出してください。
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 ちなみにこれが問題の丸福金貨。自分の持ってる映画関連アイテムの中では唯一と言っていい希少品の部類。映画の完成記念に三船監督が作って関係者に配ったものだそうです。「なんだ、ホンモノの丸福金貨じゃないじゃん」と言う人と「これは!」と言う人とがいますが、自分は本物の丸福金貨よりもこちらに価値を見いだしてしまう人種です。

【銀嶺の果て】

 『銀嶺の果て 新版』、オリジナルの段階でスタア順位1位が新人三船なんてことあるわけないんだから、新版は少なくとも三船がスターになって以降に作り直されたんだろうな。クレジットに「キヌタ・ラボラトリー」表記があるから少なくとも1960年以降。そのときにタイトル作り直したら、そりゃトップはミフネだよなあ。しかしいつリバイバルがあったのかとかを簡単に調べられる資料がない。調べてもいない。(←怠慢)
 オリジナルのころのスタア順位トップはこのメンツだと誰になるんだろう? 志村喬説や河野秋武説などいろいろあるけど、結局決め手がなくてよくわかんない。ポスターの記名もいろいろあるしねえ。東宝に保存されているであろう完成台本(映倫に提出するために、完成した作品の台詞や字幕などをすべて記載してある台本。撮影台本とは違うもの)を読めばわかるんだろうけどなあ。「世界のミフネ展」に展示してあった『山小屋の三悪人』台本の配役欄はどんな順序になってるのかな? それだけでも知りたかった。

 一部の人間(LP時代からの伊福部昭ファン)だけが異様に聞きおぼえのある、『銀嶺の果て』タイトル音楽のあの途中で「ヘロッ」となるやつ、じつはあの音を拾った古いフィルムはあのレコードを作った当時東宝に残っていた「新版じゃない『銀嶺の果て』だった」、なんてことはないのかなあ。いやいまさらわかるわけないんだけど。
 1960年以降にキヌタ・ラボラトリーで整音をやってるってことは、芥川也寸志のピアノグリッサンドからはじまるタイトル音楽もオリジナルから音録りしてそれをダビングし直してるんだろうから、作業用のワークテープとか残ってないんだろうか。まあいままでにそんな話聞いたことないからないか。そんなのがもしあったら伊福部サントラ界隈で話題になってないわけがない。
 『銀嶺の果て』は楽譜も残ってるからもしオリジナルと違う曲だったらすぐわかるだろうし、『姿三四郎』みたいに音楽を録り直したりしてたらさすがに伊福部先生も憶えてるだろうけどそんな話もなかったし、きっと曲を変えてるとかそんな細工はないんだろうな。

 なお「銀嶺の果て」でググるとやたらと筒井康隆がヒットするのだが、あちらは「銀齢の果て」。お間違えなきよう。
posted by TORI at 20:56 | TrackBack(0) | 雑記